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Roots of the King
ssっぽい。
「判決を言い渡す」
玉座に座った黒い髪の青年は、赤い双眸を細めて告げる。
「死だ」
玉座の前で、数人の男に組み伏せられ、膝をつき、折れた剣を手にしている男は恐怖に目を見開き――振り下ろした青年の細剣が男の喉を貫いた。
青年は細剣を軽く振り腰の鞘に納めると、側に控える従者達に男の遺体を運び出すように告げる。そして玉座の後ろにうずくまり、目を閉じて耳をふさいでいる少年の肩に手を添えた。
「もう、目を開けて良い」
「・・・・・・もう、大丈夫?」
少年は、青年と同じく紅の瞳に涙を浮かべて青年を見上げた。
「あぁ、お前が心配する事は何もない・・・兄さんが側に居る」
「・・・さっきの、剣でマリーやシェリーを殺した人は・・・?」
「・・・お前は気にするな、シン」
青年は柔らかく微笑むと、少年の頭を撫でた。
青年は少年の手を引き、廊下を歩いていた。
「兄さん」
「ん?」
「僕にも、剣を教えてくれる?」
青年は立ち止まり、弟に驚いたような視線を向ける。
「お前がそんなことを言いだすなんてな・・・何かあったのか?」
「・・・僕も、兄さんを守りたい・・・・・・」
青年は暫く驚愕を隠せなかったが、すぐに微笑むと少年を撫でた。
「ありがとう。だが、お前はまだ幼い。俺を守ろうなんて、考えなくて良いんだ」
「でも、兄さん・・・」
「安心しろ。お前が剣を学び、俺と共に剣を取れる日が来るまで・・・俺は死なん」
「おい、兄ちゃん。起きろって、もう店閉めるぞ?」
そう俺の肩を揺さぶる店主の声で目を醒ます。
「あー・・・ごめん、おじさん。俺寝てたんだ」
「ぐっすりとな。何か良い夢見てたみたいだぜ?」
「・・・そうなのか?」
「憶えてないのかい?」
「夢なんて憶えてる事のが少ないって・・・」
そう言って席を立ち、店主に飲み物の代金を支払って店を出た。
「夢・・・・・・」
何となく呟いてみる。必死に思い出そうとしても、どうにも思い出せない。
ただ、俺によく似た顔の男の人の微笑だけ・・・何となく憶えていた。
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