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笑顔と青空と。

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苛む。

SSっぽい何か。

始まりは唐突だった。
『おい、大丈夫か!?』
『大変、こんなに血が!』
『医者だ、医者を呼べ!』
気付いたら、俺は地面に身体を投げ出すように横たわっていた。
・・・どうして、俺は・・・・・・・・・













「災難だったね」
医者の第一声はそれだった。どうにも軽いと言うか、それが事故に遭った患者への第一声なのかと思う。
「まぁ検査の結果、命に別状は無いが・・・・・・頭を打ったらしいし、油断はできない」
そうらしい。
「それで、憶えてる事は?」
「・・・名前と、友達と・・・大体は憶えてる」
「そうか。そこまで深刻でないなら良かった。・・・それで思いだせない事は?」
「・・・事故の前の事が思い出せない。・・・僕はどうして事故に?」
「なんでも、君は後ろから馬に撥ね飛ばされたらしいね」
「・・・街中で?」
「あぁ。君が撥ねられた道は馬を走らせてはいけない筈だったんだがね・・・勿論、馬を走らせてた連中は城塞騎士に引き渡したけどね」
そうですか、と視線を窓の外に向ける。そろそろ夏だ。
「で、君は暫く絶対安静だ。良いね?」
医者はそう言って病室を出て行った。
「・・・・・・」
白いベッドに横たわり、外を眺め続ける。
僕は、何をしていたんだっけ。そうだ、リアは何処だろう。・・・僕は彼女のガーディアンだ。守らなきゃ・・・
そこで、意識が急に遠くなった。













目を覚ますと、既に日は沈みつつあった。白い部屋が、今は赤く染まっている。
「・・・・・・」
随分と眠っていた為か、頭は寝起きでありながら冴えていた。
「俺は何時間寝てたんだ・・・?」
まぁいいか、と思いながら水差しの水を飲む。
「・・・リア」
記憶を失って、未来だけを見て此処まで旅を続けてきた。今更過去に興味は無いが、いざ思い出すと妙な気持ちになる。
それは、俺の記憶の一部。彼女の名前と、最期。

いっそ思い出さなければ良かった記憶の欠片が、無力だった『僕』が、今更俺を苛むのだった。
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